野口先生は、命に対する礼がとても大切だと仰っていました。整体は、「礼に始まって礼に終わる」とも。
「はい、そうですか、わかりました」とはいかない。ほんとうに、たったこれだけの言葉を理解するのにどれだけの時間がかかったことか！まだ命に対する礼が完成されているとは言えません。簡単なようでむずかしい。

井本整体に通ってた頃は2人1組で練習していたのですが、まず最初にお互い正座で「よろしくお願いします」と挨拶をし、終わった後は「ありがとうございました」と礼をします。そして人に施術する時は「失礼します」と言って相手の体に触れると指導されましたが、すみません、私言ってません。心の中では言ってますけど。怒られそうですね
中にはすぐ理解できる人もいらっしゃると思いますが、私の場合、そうはいかなかった。なかなか理解できなかった。少しずつだんだん分かるようになってきて今思うことは、命に対する礼があるかないかにより、効果が全然違ってくるということです。
客が増えリピート率も上がってきたのは、呼吸に合わせるようになったこと、時間を短くしたことだと前にもお話ししましたが、もうひとつ付け加えるならこの命に対する礼ですね。

日本の武道はこの礼がちゃんとできていますね。柔道にしろ、剣道にしろ、合気道にしろ。勝って自分だけがバンザイということはない、必ず勝っても負けても相手に敬意を払います。多分日本だけでしょう。
道のつくものはみんなそうですね。花道・書道・茶道他…うちに来られるお茶の80代の先生は、必ず正座をして挨拶をされます。道のつくものをやっている人がもし整体を習ったならば、上達は早いでしょうね。そう思いますね。整体も自分ひとりではできません。相手がいればこそです。だからお客さんには常に敬意を持って接しなければいけない。でもつい忘れてしまいますけどね。私も注意しなくちゃ。
合気道は決して自分から攻撃することはありませんね。向かってくる相手の力を利用する、相手が攻撃して来なければ戦いになりません。戦いではなく平和のための武道。身を守るための武道。そう思いますね。