特派員が実食レポート! 出雲・雲南のおすすめランチ♪
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地元民なら誰もが知る、出雲の名店中の名店

出雲市で80年もの長きにわたって愛され続ける老舗寿司店『まるこ寿し』。
現在の三代目店主が受け継ぐこのお店は、単なる寿司屋を超えて、出雲の人々の「思い出の味」として深く根ざしています。昭和20年に創業したまるこ寿しは、先々代が兵役から帰ってきた際に「これからは寿司の時代だ」と判断し、それまでの仕出し業から寿司専門店へと転身したのが始まりだと言います。

ひと目でわかる油揚げの肉厚さ。
まるこ寿しの看板商品であるいなり寿司は、その揚げの厚みと深い味わいで多くの人を魅了してきました。20世紀の終わりには「21世紀にも残したいお寿司」として地元メディアに取り上げられるほど。
特徴的なのは、その製法へのこだわりです。煮る前の揚げの状態から丁寧に仕込み、厚みのある仕上がりは他では味わえない独特の食感を生み出します。中に入る麻の実の香ばしさも特徴的で、80年受け継がれてきた伝統の味を忠実に引継ぎ、今に伝えています。
団塊世代の方々にとっては、まさに「思い出の味」。当時からまるこ寿しを知る人たちからは、「懐かしい」「また食べたくなった」という声が絶えません。

大人気メニューである「ミックスいなり寿司」
名物であるいなり寿司の他に、特に人気を博しているのが境港産ズワイガニや濃厚なウナギを贅沢に使った「ミックスいなり寿司」。カニ・ウナギ・いなりの三種が一度に楽しめる贅沢なセットは、観光客にも大人気。他にもカニやエビ、イクラなどを彩りよく盛り付けた海鮮ちらし寿司や、焼きサバ・あなごの押し寿司、にぎり寿司など、ラインナップも豊富です。

80年に渡り伝統の味を守り続ける名物のいなり寿司。
昭和20年代から30年代にかけて、まるこ寿しは出雲の食文化の一端を担っていました。当時は弁当屋やコンビニなど存在しない時代。遠足や運動会などで「何か持参するもの」と言えば、まるこ寿しのいなり寿司でした。
「私が記憶している限りでは、駅通りまでずっと行列が続いていました。何百メートルもの行列でしたね」と三代目店主は当時を振り返ります。地元企業の催しでは、なんと千人前もの注文が入ることもあったとか。
商店街に活気があった昭和30年代は、まだまだマイカーが普及していなかったため、多くの人がバスや徒歩で買い物に来ていました。まるこ寿しもそんな商店街の賑わいの中心にありました。
そんなまるこ寿しも、常に順風満帆だったというわけではありません。
大型店舗の進出、弁当屋やコンビニエンスストアの普及により、消費者の食に対する選択肢は飛躍的に増加。さらにマイカーの普及により、かつて賑わった商店街から人々の足は遠のいていきました。長年の取引先であった魚屋が廃業するなど、まるこ寿しを取り巻く状況も大きく変化していきました。
そんな時代背景のさなか、現在の三代目店主は1つの大きな決断をしました。それまで先代が避けていたスーパーとの取引を開始したのです。
「時代が変わったから、そこまでやらないとダメだなと思いました」と三代目は当時を振り返ります。
この決断により、現在では13店舗のスーパーと取引を行い、より多くの人にまるこ寿しの味を届けています。また、イベントや催事への積極的な出店も三代目の代から始まりました。これらは今ではお店の売り上げを支える大きな柱となっていると言います。

移転前のまるこ寿し。老舗の雰囲気が漂う。
実は現在のお店の場所は移転先であり、3年前の移転は三代目にとっても難しい決断でした。以前にお店があった商店街は時代とともに過疎化が進み、人通りもまばらという状況。
当時、商店街の理事長も務めていたという三代目は、地域活性化のチャンスを模索していました。
ある時、東京の企業がIT関係のビルを駅前に建設することになり、「まちづくりのために何とかしなければ」という思いから、商店街全体の再開発に協力することに。それに伴い、店舗の立ち退きを決断したのです。

移転前の店内の様子。現在の店舗よりも寿司屋の趣が色濃い。
先祖代々、江戸時代から続いた場所を離れることは辛い決断でしたが、現在その場所には200人規模の雇用を生む施設が建設され、地域の活性化に貢献しています。

80年という長い歴史の中で、まるこ寿しは何度も時代の変化に直面してきました。昭和の黄金期から大型店舗の進出、デジタル化の波まで。その度、伝統を守りながらも変化を恐れず、新しい挑戦を続けています。
団塊世代の懐かしい思い出を呼び起こしながら、同時に若い世代にもその味を伝えていく。変わりゆく時代の中で変わらない味を守り続ける『まるこ寿し』は、まさに出雲の歴史の一端を担っています。ぜひ一度、この伝統の味をご賞味ください。

明るい雰囲気の店内にはイートインスペースも完備。
まるこ寿しでは、テイクアウトはもちろんイートインスペースも店内に完備されています。営業時間外でもWEBから注文をおこなえます。早朝や夕方遅い時間でも商品を受け取り可能で、お客様のニーズに柔軟に応えています。
まるこ寿しは大通りの交差点の角地に位置しており、道路が混みあう時間帯によっては入り難い場合もあります。車でお越しの方は事前にお店の場所をチェックしておくことをおすすめします。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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