投函できませんでした。
もう40年近くも前の話です。
学校を卒業して、大阪にある企業内高校に教員として勤めることになりました。
グループサウンズ全盛時代。その頃、付き合っていた人はバンドに夢中で…単位が取れずに留年が決まっていました。
下宿を引き払って、いよいよ新生活に旅立つ日……その人と会いました。
「楽しそうだね。何だか すごく大人に見える」と、彼は言いました。
もうずいぶん前から、二人の間の距離が広がっているのは、感じていました。
体育の先生を目指していたはずの彼は、長髪にサングラスで…その頃、流行りの『歌声喫茶』と呼ばれる所などでも演奏していました。
いっぱしのアイドルのように、女の子たちに囲まれるようにもなっていて、
「聴きにきて」と言われても……私はほったらかしで、女の子たちの輪の中にも入れず、席に一人でいることが多くなっていました。
友達でも 恋人でもない関係……
「おまえは、いいわ…楽で…」
男みたいだと言われていました。
言われるたびに、本当は泣き出しそうな自分を感じていました……
別れは、昔の映画のシーンに出てくるようでした。
「じゃあ、元気で」と、言われた言葉に、私が何かを言おうとし……ハッとしたように、その人が私を見て……でも、次の瞬間、私は笑って手を上げていました。
「じゃあ」………
最近、その時の私とよく似た若い人たちと出会います。
ちょっと突っぱって、粋がって……何でもありません、という風にしながら、本当はとても泣いています。
1970年代の曲がTVから流れるたびに、その時のことを思い出します。
なぜ素直に、大切だと……言えなかったのか……
言葉は、気持ちを伝えるためにあります。
悔いのないように……精一杯の思いを伝えておきましょう。今…
