遺されたブレスレット.・**☆
だんでらいおん
ずっと遠隔だけで つながっていた方でした。
おだやかで礼儀正しい言葉づかい。
若い男の方が そんな風に何年も頼りにしてくださるのは珍しいことでした。
恋人ができたという話。
結婚を話し合っているという話。
楽しそうに報告してくださっていましたが、
そのうちに少し辛そうな様子に変わりました。
「彼女の要求が多くて・・」
結婚の時期、生活場所・・
振り回されて困惑の様子が感じとられました。
「ご自分の気持、ちゃんと伝えないとダメですよ」
彼と何度も同じ会話をくり返しましたが、
婚約者は実家を離れないまま、
別居結婚となり、すぐに離婚になりました。
「何のために結婚したんでしょうね・・」
それを言う前に・・
何で、何も言わないんですか・・
やさしすぎて、悔しいと思いました。
それからまた3年くらい経って、
はじめて「訪ねたい」と電話がかかり、
約束していたのに・・
結局、会うことはできませんでした。
約束した前夜、到着された宿で熱が出て、
そのまま翌日も寝込んでしまわれました。
「ただの疲れではないと思いますよ。
すぐに病院に行ってくださいね」
「東京に・・帰ってから行きます」
急性白血病でした。
そのまま入院になりました。
ドナーが見つからないまま・・
電話の向こうで、言葉にならない声が聞こえていました。
34才でした。
葬儀の日。
写真の彼の逞しさに驚きました。
学生時代、アメリカンフットボールの選手だったとのこと。
そんな人がどうして あんなに優しくて、
何も言わずに過ごしてこられたのか・・
私は彼に何ができたのだろうかと悔やまれます。
四十九日を過ぎて、
彼のお母さんが訪ねて来られました。
「あなたのことを よく話していました」と。
「今度、生まれる時は
あの人みたいにハッキリ言える人になりたい、と言っていました」
まさか、そんなために出会ったわけでもないでしょうのに・・
そしてブレスレットを見せてくださいました。
彼が最後まで外さなかったというブレスレット。
私が作ったものでした。
お母さんの手に合わせて作り直しました。
生涯 忘れることのない人・・
忘れることのできないセッションです。
(写真は別の物です)
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