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山陰スピリチュアル紀行

たたらの生活を巡る... 金屋子神を追って[吉田町]

兎比神社、菅谷高殿、矢入大滝、上神社

今回は製鉄の神様「金屋子神」を追って、雲南市吉田町を巡りました。
まずは道の駅たたらば壱番地近くの金屋子神社(※個人所有神社)へ。
ご祭神は金山彦命・金山姫命となっています。この金山彦命に惹かれ参加したメンバーもいました。
金山彦命、金山姫命
伊邪那美神が、火の加具土(カグツチ)神をお産みになった際に大火傷を負い、苦しんで嘔吐されたときに生まれた神様。
夫婦神ともいわれる。

兎比神社

次に向かったところは兎比(とひ)神社。主祭神は、足名椎(アシナヅチ)神・手名椎(テナヅチ)神。
とてもしっとりした、素敵な神社です。
いろいろ神社巡りをしている私達ですが、足名椎・手名椎が主祭神になっている神社はあまりなく、とても貴重な神社です。
ここに宮の整備をされていた方が、私達に声をかけてくださいました。兎比神社の宮司・景山様でした。そして少しお話を伺うことができました。
ここの社は、元は地域神を祀った八幡様だったということがわかりました。
足名椎・手名椎
八俣大蛇に登場する櫛稲田姫命の父・母神。
出雲國風土記では「手をすり足をさするほど、姫をかわいがった」ことからこの名がついたと解釈されていますが、古事記では「大山津見神の子」と自己紹介していることから、稲作の神様(手足を使い田畑を耕すの意)とされています。
所在地: 島根県雲南市吉田町吉田1023

菅谷高殿

次は、菅谷高殿の見学です。今年(2016年)4月25日に、日本遺産「出雲の國たたら風土記~鉄つくり千年が生んだ物語~」に認定されたばかりです。鉄の製造にかかわった方たちの生活の場が保存されています。
お話は、朝日光男さん。生まれも育ちも菅谷で、高殿周辺が遊び場だったそうです。
大人になるにつれて、ここの存在の大きさ・重要さがわかり、これは後世に残すべき大事な遺産だと自らが語り部となり、訪れる人々に熱弁をふるっていらっしゃいます。 
今や現存する高殿は全国でもここだけ。世界中からの視察団や、観光客の方々がこられるそうです。私達も菅谷高殿の中に入らせていただき、朝日さんのお話しをじっくり伺いました。たたら製鉄の作業過程の説明を受けるうちに、その風景が目に浮かぶようでした。  
そして、今回の目的ともいうべき金屋子神が祀られている場所へ案内していただきました。川の近くの小さな祠でしたが、皆大感激です。
金屋子神は女性の神様で、菅谷たたらが操業している頃、高殿は女人禁制で した。村下(むらげ)と金屋子神の神聖なる領域だったそうです。(村下とは、製鉄にあたり重要なことを任されている責任者のことです。)金屋子神との蜜月があったのかもしれません。ロマンを感じます。
所在地(菅谷たたら山内): 島根県雲南市吉田町吉田4210-2

山里かふぇ はしまん

さて、次はお待ちかねの昼食です。ここで偶然の出来事が...
社☆ガールの名前に反応した他のお客様が、これから行く神社をご存じで「掃除をしておいたよ」って仰ってくださったのです。(予想もしなかった展開にビックリ。神様が呼んでくれたのかも... ありがとうございました)
はしまんの「山里かふぇ御膳」の食材はすべて地元産、ドレッシングにいたるまで手作りにこだわっていらっしゃいます。
民泊の施設もあります。
所在地: 島根県雲南市吉田町吉田2566

矢入大滝

午後からは、雲南四大大滝のひとつ矢入(やいり)大滝と上神社。上神社禰宜の小田様に案内をお願いしました。
小田様は吉田ふるさと村で観光事業部に所属されており、今回特別に個人的にガイドをお願いしました。
今回は、滝をルートに入れたくて小田様にご相談させていただいたところ、上神社と密接な関係のある矢入大滝を案内してくださいました。
少し前まではお祭りもあったそうですが、人口の減少により最近はお祭りもなくなったそうです。
確かに祭りの名残りの舞台などが残っていました。
滝までの道もだいぶ荒れていましたが、倒木をよけ、ぬかるみをゆるゆると進むとマイナスイオンたっぷりの滝が目の前に... 癒しのひとときをすごしました。
所在地:島根県雲南市吉田町曾木

上神社

さて、滝でのひとときを終え、今回最後のルート上神社へ。
滝に行く途中でも少しお話をしていただいておりましたが、上神社で意外なお話が...
上神社のご祭神は、誓約で誕生した八柱と思っていました。
しかし古老の話では、「矢入大滝の滝壺に我坐す。奉れり。」と夢枕にたち、雲陽誌等を調べると『八組大名神と吉備武彦命なり。今は相殿にまつり。』とあったそうです。
出雲國風土記には『是上社なり』とあって、この上神社のことでしょうということでした。
吉備武彦命とはおそらく吉備津彦命のことであり、岡山の桃太郎のことだといわれています。
岡山に祀られている吉備津彦命の名前がなぜこの吉田の上山で出てくるのか... 謎です。とても興味をもちました
誓約の八柱
天照大神と須佐之男命の誓約で生まれた八柱の神
天照大神の珠から生まれた五柱の男神(正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命、天之菩卑能命、天津日子根命、活津日子根命、熊野久須毘命)と、須佐之男命の剣から生まれた三柱の女神(多紀理毘賣命、市寸島比賣命、田寸津比賣命【宗像三神】)。
古事記より
所在地: 島根県雲南市吉田町上山459
まさか、島根県で吉備津彦命の名前を聞くとは思ってもみませんでした。
吉備津彦命が出雲の地にこられた理由は、日本書紀にあるといいます。崇神天皇のところに出てくる出雲振根(いずものふるね)の項が関係してるので、出雲振根に関しても調べていきたいと思いました。
今回の神社めぐりもとても充実した中身の濃いものになりました。
小田様ほか関係者の皆様、ありがとうございました。 
協力: 社☆ガール 波多野由美子(2016.7.29)