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日本で一番悪い奴ら

日本警察史上最大の不祥事。いったい奴らは何をしたのか!?

2016年6月25日全国公開<br>(c)2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会
2016年6月25日全国公開
(c)2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会
日本で一番悪い奴ら

監督:白石和彌 
脚本:池上純哉 
音楽:安川午朗
原作:稲葉圭昭「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」(講談社文庫)
出演:綾野剛
   YOUNG DAIS 植野行雄(デニス)・矢吹春奈 瀧内公美
   田中隆三 みのすけ 中村倫也 勝矢 斎藤 歩
   青木崇高 木下隆行(TKO) 音尾琢真 ピエール瀧 ・ 中村獅童
配給:東映・日活

作品紹介

でっちあげ・やらせ逮捕・おとり捜査・拳銃購入・覚せい剤密輸――
あらゆる悪事に手を汚す北海道警察本部の刑事・諸星要一。悪を絶ち正義を守るために、警察へ忠誠を誓いすぎた男の歪んだ正義が暴走する映画『日本で一番悪い奴ら』。監督は、『凶悪』で人間の悪意を容赦ない視点で描き2013年度映画賞28冠に輝いた白石和彌。本作では『凶悪』を超える猛毒で登場人物が“悪”に冒され、不謹慎な笑いと凍りつくような衝撃を叩きつける。
 柔道特別訓練隊員として警察に入った諸星は、20代後半になって現場に配属されるが、叩き上げの刑事たちの前では右往左往するのみ。警察組織に認められる唯一の方法――それは【点数】を稼ぐこと。あらゆる罪状が点数別にカテゴライズされ、熾烈な競争に勝利した者だけが認められ、生き残る。そのためには汚物に飛び込み、“S(エス)(=スパイ)”を見つけだせば、優先的に情報が手に入る。こうして諸星を慕って集まった3人のS(エス)たちとの狂喜と波乱に満ちた四半世紀が始まる。

 主人公の諸星要一を演じるのは、『そこのみにて光輝く』『新宿スワン』『リップヴァンウィンクルの花嫁』をはじめ、
次に何を演じるかに今、最も注目が集まる綾野剛。本作では諸星のたどった26年を演じきり、年齢にあわせて体重を10キロ増減させるなど、外見も大きく変貌させながら己の信じる正義を貫きとおすアンチ・ヒーローを誕生させる。
 そして諸星のS(エス)となる男たちには異色のキャスティングが実現。諸星の違法捜査に抗議するはずが、すっかり意気投合して兄弟分となる暴力団幹部・黒岩勝典役に中村獅童。舞台『大和三銃士』(13)、映画『振り子』(15)で主演をつとめるなど、日本を代表する俳優として独特の存在感に近年ますます磨きがかかった中村が、70年代東映実録ヤクザ映画の登場人物を思わせる強面と優形を併せ持つヤクザを怪演。諸星に心酔し、S(エス)として献身的に仕える山辺太郎役はHIPHOPアーティストとして活動するかたわら、園子温監督『TOKYO TRIBE』(14)で主演に抜擢され、新人俳優の最有力株に躍り出たYOUNG DAISが絶妙の舎弟感で寄り添う。そして、うってつけての適役
と既に絶賛と爆笑を集めているのが中古車販売業者アクラム・ラシード役の植野行雄(デニス)。日本語はペラペラだが、外国語は全く喋ることができないという本人があえて片言の日本語でまくしたて、実写映画初出演を果たす。
 さらに、諸星が手を汚すきっかけを与える先輩刑事・村井定夫役に「電気グルーヴ」メンバー・声優・ナレーターとして幅広く活躍する一方で、俳優としても独特の個性を発揮するピエール瀧。白石監督の『凶悪』で演じた文字通り凶悪な怪物に続き、本作では諸星の耳元に悪魔の囁きを吹きかける。
 スタッフは脚本に『アンダルシア 女神の報復』(11)、『任侠ヘルパー』(12)の池上純哉を迎え、撮影に『共喰い』
『ピンクとグレー』の今井孝博、美術に『誘拐報道』『マークスの山』の今村力、音楽に『八日目の蝉』『ソロモンの偽証』
の安川午朗など、『凶悪』で白石を支えたスタッフが顔を揃える。
主題歌として、スカパラと横山健の初コラボとなった、東京スカパラダイスオーケストラfeat. Ken Yokoyamaによる「道なき道、反骨の。」がエンディングを飾っている。
 なお、本作で描かれる<日本警察史上最大の不祥事>は実話をもとにしており、映画はモデルとなった北海道
警察の実在の刑事の手記「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」(稲葉圭昭 著/講談社文庫)を原作にした
フィクションである。

ストーリー

大学柔道部での腕を買われ、北海道警察に勧誘された諸星要一(綾野剛)。26歳で北海道警察本部の刑事となる。しかし、捜査も事務も満足にできない諸星は周囲から邪魔者扱い。そんな諸星に声をかけてきたのは署内でも抜きん出た捜査能力を発揮する刑事・村井定夫(ピエール瀧)。「刑事が認められるには犯人を挙げて点数を稼げ。そのためには協力者=S(エス)(スパイ)を作れ」と説かれ、自分の名刺をいたるところにばら撒き、裏社会との接触をはかる。ようやく内通を得て、暴力団組員を覚せい剤・拳銃所持で逮捕した功績で本部長賞を授与されるが、令状のない違法捜査に暴力団側が激怒。幹部の黒岩勝典(中村獅童)と面会することになった諸星だが、無鉄砲な性分を買われ兄弟盃を交わす。以降、S(エス)となった黒岩から裏社会の情報が提供されることになる。
 1984年、札幌中央署暴力犯係(マル暴)に異動した諸星は、黒岩からロシア語が堪能な山辺太郎(YOUNG DAIS)、さらに太郎からはロシアルートの拳銃横流しに精通するパキスタン人、アクラム・ラシード(植野行雄)を紹介され、共にS(エス)としての付き合いがはじまる。この頃から諸星は摘発数を稼ぐため、ラシードの従兄弟に拳銃をもたせ出頭させるなど、違法まがいの捜査に手を染めるようになる。
要人への銃撃事件の増加を受け、道警本部にも銃器対策課が新設。第二係長を拝命する。上司から新設部署の面子のため、手っ取り早く拳銃の摘発をしたいと相談され、首なし(所持者不明の銃)をコインロッカーに入れ摘発を偽装する。この一件を皮切りに、摘発手段はエスカレート。「銃器対策のエース」と呼ばれるまでになった諸星は、太郎とラシードに交渉させてロシア人から1丁2万円でトカレフを購入。摘発件数を水増しするようになる。
 1995年の警察庁長官狙撃事件の影響で銃器取り締まりが強化されると一丁でも多く摘発することが求められ、諸星は銃器対策課から予算を引き出し、太郎とラシードをロシアまで拳銃の仕入れに向かわせる。しかしロシアでは一丁しか購入できず、良心的な値段で拳銃を売る東京のヤクザに打診する。ところが東京のヤクザから購入した拳銃が、一般の宅配便を使って道警本部まで送られてきたため警視庁の知るところとなる。この影響でヤクザからの拳銃の販売価格が高騰。資金不足を補うために、黒岩からの提案でシャブを捌くことで金を作る決断をする。一線を越えてしまった諸星は潤沢な資金で拳銃を購入するだけでなく、公私ともにS(エス)との関わりを深めていく。そして黒岩から更なる大がかりな計画が諸星に持ちかけられ、税関、道警を巻き込んだ〈日本警察史上、最大の不祥事〉の幕が切って落とされる。

記者の見どころ

『凶悪』で日本国内の映画賞を総ナメにした白石和彌が、日本警察史上最大の不祥事と呼ばれる出来事を題材に製作したのが、本作品『日本で一番悪い奴ら』だ。国民を守るはずの警察官が、恐ろしいほどの悪に手を染めていく。

真面目で愚直な性格だった諸星(綾野剛)が、先輩のスゴ腕刑事・村井(ピエール瀧)らとの交流を通じて周りを巻き込みながら悪事に手を染めていく。予告編にもある「みんなは悪いことしたことないんですか?」という台詞に思わず納得してしまうほどのキワドい世界観が繰り広げられ、もはやあきれて笑ってしまうほどの熱量で悪事に手を染めていく。

中村獅童の異様な存在感に目が釘付けになった。他にYOUNG DAISと植野行雄(デニス)も想像以上のハマリ役で、綾野剛を含めた4人が暴走していく。次第に倫理観が崩壊し、やつれていく諸星という役を演じた綾野剛の役作りには驚かされた。彼の演技の幅を感じられる一作といえるだろう。

これほど重い内容を、ここまでぶっとんだ世界観で表現できるものかと素直に驚いた。日本で一番悪い奴らの犯した日本警察史上最大の不祥事が、キワドく、だけどもテンポよく楽しく(?)スクリーンで大暴れする。

Text by EISUKE